今日の言の葉 

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11/30  昨日の疑問、自分で解決。関東地方に湿原は多いが、毛野あたりの数
      の多さは飛び抜けている。

       栃木県 那須山麓湿地群
       栃木県 大田原市の湧水湿地
       栃木県 鬼怒川河川敷(上沢前湿地)
       栃木県 鬼怒沼湿原
       栃木県 上河戸・河戸新田のため池群
       栃木県 中禅寺湖
       栃木県 湯の湖・戦場ヶ原・小田代ヶ原湿原
       栃木県 弁天沼湿原
       栃木県 長岡湿地
       栃木県 駒生(コマニュウ)湿地
       群馬県 草津周辺湿原群(芳ヶ平、富貴原ノ池、弓池など)
       群馬県 八瀬川
       群馬県 大峰沼湿原
       栃木、群馬、埼玉県 渡良瀬遊水地
       群馬、新潟県 利根川源流山稜高層湿原群(平ケ岳〜巻機山〜朝日岳)

       頭がくらくらしてきた。特に栃木県は水っぽい土地柄と見えた。
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11/29  以前から、「上野」と書いて「こうづけ」(現代仮名づかいでは「こう
      ずけ」)と読むことが不思議だった。逆の「下野」は「しもつけ」だ。「か
      み」と「しも」の関係で、しっかりしているように思えるが、どうもお
      かしい。「つ」は「〜の」という意味だから、この地名は次のように解
      釈できる。
      
       「上の野」……かみ・つ・け → こうづけ
       「下の野」……しも・つ・け → しもつけ

       つまり、「野」と書いたら、「け」と読むということになる。聞いた
      ことがない。いや、ひょっとして昔はそういったのか。納得できないま
      ま、結局は「昔はそう呼んだ」と思いこんできた。ところが、万葉集を
      見ていて、やっとこの謎が解けた。

       上毛野 伊香保の沼に 植え子水葱 かく恋むとや 種求めけん
       かみつけぬいかほのぬまにうえこなぎかくこひむとやたねもとめけん
                          巻14東歌上野の国-3415
       上毛野の伊香保の沼に植えた子水葱の成長するのがこんなに待ち遠し
      くてたまらないのならいっそのこと子水葱など植えるのではなかった。

       つまり、万葉の時代には、「上野」は「上毛野」と呼んだのだ。「下
      野」は「下毛野」である。「かみつけの」と「しもつけの」だ。そうだ、
      「毛野」という大きな地域があって、それを二つに分けていたのだ。し
      かし、後代は「毛」の字を省略して「上野」などと表記していたのだ。
       こんなことを調べていたら、「栃木県足利市立毛野中学校」という学
      校まで発見できた。古い国名を使っている由緒ある学校なのだ。
       岐阜市には「尻毛」という地名があるが、「毛」は、草が生い茂る湿
      地帯を表すのだという。そういうことなら「毛野」には、広い範囲で湿
      地帯が広がっていたはずだ。だれか、確認してはくれまいか。
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11/28  「当て字」に近い存在に「熟字訓」というものがある。「小豆」と書
      いて「あずき」と読むのがこれだ。個人で当て字をしているとイヤミの
      ひとつも言われるそうだが、熟字訓を知らないと、また何か言われそう
      だ。要するに、熟字訓とは、国民的当て字とでも呼ぶべきものなのだ。
       ずいぶん前に「赤信号、みんなで渡ればこわくない」というフレーズ
      がはやったことがあるが、国中こぞって残した当て字が、このように確
      かな地位を得ている。
       このページを見てほしい。
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11/27  「倶楽部」も「ともに楽しむクラブ」という感じが出ていてよいが、      
      漢字の当て字の最高峰は、「型録」だろう。こう書いて「カタログ」と
      読ませる。思い出すのは、小学生のころに読んだマンガ雑誌。裏表紙あ
      たりに「型録請求先」の文字が立ちはだかっていた。これが読めると物
      知りの仲間だった。
       ボクは読めたけれど、カタログというものの実体を知らなかった。耳
      知識のいやな小学生だったのだ。
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11/26  漢字で書く外国の地名。「英吉利 → イギリス」のように、読んでほ
      しい。

       氷島     アイスランド
       愛蘭     アイルランド
       伊太利亜
       /伊太利   イタリア
       牛津     オックスフォード
       阿蘭陀/和蘭 オランダ
       剣橋     ケンブリッジ
       瑞西     スイス
       瑞典     スウェーデン
       西班牙    スペイン
       芬蘭     フィンランド
       仏蘭西    フランス
       白耳義    ベルギー
       葡萄牙    ポルトガル
       欧羅巴    ヨーロッパ
       倫敦     ロンドン

       「牛津」と書いて「オックスフォード」とは考えたものだ。「牛」が
      「オックス」で、「津」が「フォード」だろうか。「剣橋」が「ケンブ
      リッジ」というのも、冗談みたいだ。昔の人も研究していたということ
      だ。同じようなほかの例を探したい。

       地名と漢字についてもっと知りたい人のために、このページに一覧に
      しておいた。興味のある人は、一度見てほしい。

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11/25  昨日の記事で、「越南」を「ベトナム」と読むと書いたが、そもそも、
      「呉越同舟」という言葉が示すように、「越」という国があった。その
      「越」の南側をベトナムというのだ。これは、周りが勝手にそう言うの
      ではなく、ベトナムが言っていることらしい。ベトナムは、昔、漢字を
      使っていたことがあるのだ。そういうことなのだ。
       それはそうと、「越」が「ベト」で、「南」が「ナム」だろうか。気
      になる。
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11/24  かつて、外国の地名を漢字で表すことがあった。「インド→印度」と
      いった式の表現だ。

       亜細亜    アジア
       亜剌比亜   アラビア
       爪哇/闍婆  ジャワ島
       新嘉坡    シンガポール
       泰      タイ
       土耳古    トルコ
       巴基斯坦   パキスタン
       比律賓    フィリピン
       越南     ベトナム
       波斯     ペルシア(現在のイラン)
       呂宋     ルソン島

       以上はアジア編であるが、脱力感があるのは「ハノイ」である。これ
      を漢字では「河内」と書くらしい。いや、これは「かわち」じゃないか。
      海外出張の挨拶状で、「この度、ハノイに参ります」と書いたつもりで
      も、相手は「なんだ、大阪なんだろ」と思うかも知れない。苦労して海
      外に支社を設けても、「河内支店」では何かせつない。
       河内音頭もハノイ音頭。新しいご当地ソングの発祥である。
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11/23  行った。

       こう書いて何と読むか。「いった」か、「おこなった」か。
       どちらも正解だ。これがどちらなのかはっきりしないので、「行なっ
      た」と書く向きがあるが、当然のことだろう。こんなに使われる言葉に
      紛らわしい書き方が強要されるなんて、おかしい。
       「行なった」は、「許容」の書き方だ。あくまでも本則は「行った」
      である。だれか理由を教えてほしい。
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11/22  女々しい

       男にしか使えない言葉だとテレビで言っていた。「女みたいだ」とい
      う意味だからだろう。確かに、「女みたいな女」というのはおかしい。
       しかし、その意味するところは、「いくじがない、思いきりが悪いな
      ど、男としてふさわしくない。柔弱である(大辞林)」ということだ。
      「めそめそしている」「泣いてばかりいる」「決断力がない」は、女な
      ら許されるが、男としては失格だということだ。
       長い日本の歴史を感じる。男女差別について、考えたくなる言葉であ
      る。そういえば、「男勝り」とは言っても、「女勝り」とは言わない。
      男が基準なのだ。
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11/21  最近、なるほど、と思った言葉

       うんざりさせるための秘訣は、なんでもかんでもしゃべることである
                                 ボルテール

       ボルテールのことは詳しく知らない。仏蘭西の思想家だ。彼がどんな
      に立派なことを書いたかはさておいて、だれかのおしゃべりにうんざり
      しただろうことはほぼ疑いがない。
       ボクとあまり変わらないと思った。
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11/20  「訓読みみたいな音読み」を集めてみた。

        漢字  音読み    訓読み
        駅  エキ     うまや
        肉  ニク・ジク  しし
        会  カイ・エ   あう
        絵  カイ・エ   −
        肺  ハイ     −
        幕  マク・バク  おおう

       いわゆるムダ知識。こっそり仲間に話して自慢しても、「だからなん
      だ」と言われるのがおちだ。
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11/19  水を掬すれば月手にあり  みずをきくすればつきてにあり
       花を弄ずれば香衣に充つ  はなをろうずればこうころもにみつ

       夏の施餓鬼会で真ん中に座るお坊さんはこんな台詞を言う。現代語で
      言えば、「水をすくうと月は手の中に入る。花に触れると香りは衣服に
      充ちる」となかなか風流だ。
       ところで、「掬」の字を眺めると、手偏に「菊」である。これで「す
      くう」という意味だ。後に「する」をつけて読むところから、これが音
      読みだとわかる。音を決めているのは「菊」の字だ。つまり、そもそも
      「菊」を「キク」と読むのは、音読みなのだ。
       最近気づいたことである。そういえば、「肉」を「ニク」と読むのも
      音読みだった。「訓読みみたいな音読み」を集めてみたくなった。
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11/18  宝石には縁がない。知識もない。なのに、「2カラットのダイヤ」と
      か聞くと、驚こうとする自分がいる。こういうのはいやだ。
       立ち入りたくない分野だが、そうも言ってられないので調べてみた。

      カラット [carat; karat]
       (1)宝石の質量を表す単位。200ミリグラムに当たる。記号は K, ct
       (2)金の純度を表す単位。純金を24カラットとする。例えば18カラッ
         トは、純度24分の18
ということで、18金ともいう。記号 K, kt
         金。〔カラットは古く、はかりで重さを測るのに carob(イナゴ
         豆)豆を用いたことから〕
                               (大辞林より)
       なんだ。0.2gが1カラットか。あんまりあっさりしていて、がっかり
      だ。もっと素人の立ち入れない数字であってほしかった。ダイヤなんて
      生活との関係が浅いんだから、不便にしておいた方がいい。「ガロン」
      とか「バレル」をみろと言いたい。石油なしで生きていられるボクたち
      でもないのに、あのややこしさ。(9/14を参照)
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11/17  昨日の「物の名」だが、こんなものもあった。

      「は」をはじめ、「る」をはてにて、「ながめ」をかけて時の歌よめ、
      と人の言ひければよめる

       花の中 目に飽くやとて 分け行けば 心ぞともに 散りぬべらなる
      
       これはつまり、「『は』の字を初めに、『る』の字を最後に置いて、
      『ながめ』を歌の中に入れて時季の歌をよめ」とだれかが言ったので、
      がんばって作った、というもので、なるほど、この歌は「は」で始まり、
      「る」で終わっている。「ながめ」という言葉は、「花の中 目に」とい
      う部分に確かに詠み込まれている。
       凝ったつくりだ。こういうものを「良い」としたのが平安の時代であ
      ろう。おもしろいが、感動するというより、感心するということだろう
      か。昨日紹介した歌も、本当によくぞと思う。こうした歌ができること
      が文化人の条件だったのだろうか。

      昨日の答え 1=G 2=E 3=D 4=F 5=C 6=H
            7=B 8=B 9=I 10=A 11=K 12=J
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11/16  古今和歌集は全二十巻。「春」「夏」「恋」などに混じって「物の名」
      というテーマが存在する。歌の中にいろいろな「物の名」が巧みに隠し
      てあるわけだ。例えば、

       来べき
ほど時過ぎぬれや待ちわびて 鳴くなる声の人をとよむる

      には、「ほととぎす」が読まれている。もはや「ほととぎす」の意味な
      どどうでもよいわけで、とにかく入っていれば良いというルールだ。こ
      の調子でさまざまに歌は作られているが、次の一連の歌に詠まれた言葉
      を正しく見分けてほしい。むずかしすぎないように、答えは下に用意し
      てある。

      1 波の打つ 瀬見れば玉ぞ乱れける 拾はば袖にはかなからむや
      2 いま幾日 春しなければ鶯も ものはながめておもふべらなり
      3 逢ふからも ものはなほこそ悲しけれ 別れむことをかねて思へば
      4 あしひきの 山たち離れ行く雲の 宿りさだめぬ世にこそありけれ
      5 みよしのの 吉野の滝に浮かび出づる 泡をか玉の消ゆと見つらむ
      6 秋は来ぬ 今や籬のきりぎりす 夜な夜な鳴かむ風の寒さに
      7 かくばかり 逢ふ日のまれになる人を いかがつらしと思はざるべき
      8 人目ゆゑ 後に逢ふ日のはるけくは わがつらきにや思ひなされむ
      9 白露を 玉にぬくとやささがにの 花にも葉にも糸をみなへし
      10 わがやどの 花踏みしだく鳥打たむ 野はなければやここにしも来る
      11 いささめに 時まつまにぞ日はへぬる 心ばせをば人に見えつつ
      12 あぢきなし 歎きなつめそ憂きことに あひくる身をば捨てぬものから

       りうたむの花   あふひ かつら   をがたまの木 
       からももの花   すももの花     たちばな
       うつせみ     やまがきの木    をみなへし  
       なし なつめ くるみ   ささ まつ びは ばせをば 

                           (正解は明日の本欄で)
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11/15  10月4日に、室町時代のなぞなぞを集めた『後奈良院御撰何曽』に触
      れたが、難解な問題として、次のようなものを見つけた。
 
      1.鷹心ありて鳥を取る       → え
      2.嵐は山を去て軒のへんにあり   → き
      3.竹生嶋にあり嶋もなし      → い
      4.廿人木にのぼる         → あ
      5.戀には心も言もなし       → か
      6.山を飛あらしに虫ははて鳥来る  → お
      7.はたちのこさか立ながら生るゝ  → う

       このままでは分からないので、答えを下に用意した。正しいと思われ
      るものを選んで結びつけてほしい。

       正解候補
       あ.茶  い.笙  う.薩  え.應  
       お.鳳  か.絲  き.風車

       正解を見たい人は、「Ctrl+A」を押してほしい。
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11/14  寺に生まれたので、お経はまだ読める。昨日、「仏法僧」だのと書い
      たので、仏典の「三宝」を思い出した。「仏法僧」の三つを「三宝」と
      いう。お経の文句にそう書いてあるのだ。
       葬式でも、「南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧」と唱える。この
      三つの宝を大切にせよと説くわけだ。子供心に変だと思ったのは、自分
      が僧なのに、僧を大切にせよ唱えることだ。ボクなら、もっと別の物を
      大切にせよと言うと思う。葬儀会場にはたくさんの人が来ている。そん
      な中にはお経を理解できる人もいると思う。その人に「所詮は自分が大
      事か」と思われたくないのだ。だいたい、お経の文句はだれが考えだし
      たものか。古いものゆえ、簡単に改めることはできまい。しかし、なん
      とも強い違和感である。
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11/13  「ききなし」がおもしろい。

       ウグイス     法、法華経
       ホオジロ     一筆啓上つかまつり候
                札幌ラーメン味噌ラーメン
       ツバメ      虫食って土食って口しぶーい 
                ぐつぐつ米炊いてピチャピチャ虫食おう
       コジュケイ    ちょっと来い、ちょっと来い
       ホトトギス    特許許可局 てっぺんかけたか
       フクロウ     ぼろ着て奉公
       キジバト     鉄砲、鉄砲
       メジロ      長兵衛 忠兵衛 長忠兵衛
       コノハズク    ブッポーソー(仏法僧)
       センダイムシクイ 焼酎一杯グイーーッ
       ヒバリ      日一分、日一分、利取る、月二朱 
                天まで昇ろう、天まで昇ろう
       イカル      お菊二十四
       シジュウカラ   土地、金、欲しいよ

       要するに鳥の世界というのは、強欲な人間どもの代弁だと言えないだ
      ろうか。聞こうとしなくても自然にそう聞こえてしまうということなの
      だから。       
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11/12  二日前、「回復」と「恢復」に触れたが、「恢」とは何なのか、しっ
      かり分かっていなかった。そこへ「天網恢々疎にして漏らさず」という
      ことわざが被ってきた。この字はこんなところでしか出くわさない。
       辞書を引くと、こんな結果。
      【恢】 [画数]9画
       [音訓]カイ ひろ・い
       @ひろい (ア)おおきい (イ)心が広い
       A大きくする。広める。盛大にする。
       Bかえす。かえる。
       ふむふむ。「天網恢々」とは、網が大きいことをいうのだ。そして、
      「恢復」とは、Bの意味から来たものなのだ。それにしても、Bだけ意
      味がかけ離れているのが気になる。音を意味に反映してとらえる中国で
      は、めずらしくないことだと思うが。
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11/11  今日は日付に「1」が四つ並んだ。めずらしい日だから何かの記念日
      だろうと日本記念日協会のホームページを見ると、次のような結果。

      ●長野県きのこの日
        生産量日本一を誇る長野県産やまびこしめじ、なめこ、えのきた
       けを11.11の数字に見立ててこの日に。
      ●鮭の日
        漢字の「鮭」のつくりの部分を分解すると十一十一となるところ
       から、この日を「鮭の日」と制定した。
      ●おりがみの日
        数字の1が4つ並ぶ11月11日。その1を正方形のおりがみの
       1辺と見立て、全部で4辺を表すことから、この日を記念日とした。
      ●きりたんぽの日
        きりたんぽ発祥の地、秋田県鹿角市の「かづのきりたんぽ倶楽部」
       が制定した日。たんぽ串がイロリで焼かれている姿が1111と似
       ているところからこの日に。
      ●サッカーの日
        サッカーは1チーム11人で行うスポーツ。イレブン対イレブン
       の戦いを日付けに置き換えたもの。11を選手の両足と見て、11・11
       でひとつのボールをめぐって争うスポーツであることもあらわして
       いる。
      ●めんの日
        数字の1が並ぶこの日は、細く長いめんのイメージにぴったりと、
       全国製麺協同組合連合会が平成11年11月11日に制定。
      ●ジュエリーデー
        社団法人・日本ジュエリー協会が1986年に制定した日。明治
       42年(1909年)11月11日に、日本で正式に宝石の単位の
       カラットを採用したのを記念して設けられたもの。

      その他
      ●磁気の日   ●チーズの日  ●ピーナツの日 ●電池の日

       なるほどの記念日が続々登場。しかし、数字を何かに見立てて設定さ
      れたというパターンばかり。この日に何かがあったというのは、「ジュ
      エリーデー」ぐらいだ。
       記念日とは、その程度のものだったのか。
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11/10  体がこるのでマッサージ器がほしくなった。椅子に座るとあちこちぐ
      いぐいやってくれる、あれである。家電販売店に行くと、何種類もあっ
      て頭がくらくらしたが、数が多いのは結構なことである。ただ、値段も
      結構で、これはおいそれとは買えないものだった。
       店員にごちゃごちゃ言われぬ間に、とりあえず座ってみた。右手を見
      ると、リモコンが備えられていた。いくつものコースの案内があったが、
      「疲労回復コース」というのに目がとまった。「疲労」を「回復」して
      しまうのだ。
       そういえば、「汚名挽回」か「名誉挽回」かということが話題になっ
      たことがあった。挽回したいのは「名誉」の方で、「汚名」は「返上」
      したいものである。こう考えると、「疲労」を「回復」してはいけない
      ように思う。
       じっと考えていると、「恢復」という言葉が浮かんできた。そうだ、
      「回復」は本来、「恢復」なのだった。そう書くべきところを、「回復」
      で代用しているだけなのだ。その意味は、「一度悪い状態になったもの
      が、元の状態になること」である。なるほど、それくらいなら、だれも
      がよく知っている「回」の字を使いたくなるというものだ。
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11/9   ものごとを「語呂合わせで覚える」という方法が、良くない常識を生
      むことがある。例えば、頼朝が鎌倉幕府を打ち立てた1192年を「いい国
      つくろう鎌倉幕府」と覚えるのは、悪漢清盛とその一族を倒した将軍家
      源氏を美化した表現だ。武士と武士との喧嘩騒動だったのに。
       大化の改新(645年)も、「蒸し米で祝う大化の改新」だの「蘇我入鹿を
      蒸し殺す」だの、なんだか勝ったものの天下になってしまってバカみた
      いだ。語呂合わせに好悪の念がつきまとうのが良くない理解を生んでい
      るのだ。
       そんな中、ボクが大切にして忘れられないのは、農民に対する1643年
      の田畑永代売買の禁令である。田畑を切り売りすることを禁じたもので、
      「一郎よさんか、田畑の売買」と覚えたものだ。誰だ、一郎って。
       こういうものには罪がない。
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11/8   テレビを見ていたら、ふと、「てれすこ」という言葉が浮かんだ。落
      語に登場する怪魚の名である。「テレビ」とは「てれ」が共通する。気
      になって調べてみたくなった。
       落語では、長屋の茂兵衛が「てれすこ」と言ったり「すてれんきょう」
      と言ったりと、いい加減な様子が目についたが、彼が魚の名前だと言っ
      た「てれすこ」とは、「テレスコープ」、つまり、望遠鏡のことじゃな
      いかと思ったのだ。これは、「テレ(遠く)」と「スコープ(見る道具)」
      とに分けて考えられる。「なんとかスコープ」という言い方は、ほかに
      もあるじゃないか。
       さらに調べると、「すてれんきょう」の方は、「STEREN+鏡」であるよ
      うだ。これはオランダ語。「STEREN」とは、英語でいう「STAR」である。
      つまり、長屋の茂兵衛が言っていた二つは、実は同じものだったのだ。
       落語も西洋の言葉をこのように取り入れていたのかと、感心した。同
      時に、新しいものを取り入れた新手の噺家に、古参の面々は苦い顔をし
      ていたのかもしれないと思った。

      「テレ」がつく言葉をあげてみよう。

       テレフォン  テレックス  テレキネシス   
       テレパシー  テレグラム  テレポーテーション 
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11/7   十七夜が「立ち待ち」の月であると知って、この言葉の意味がすっと
      分かった。「たちまちのうちに」という言い方は、「立って待っている
      間に」という意味だと気づいたのだ。わずかの待ち時間。これに「忽ち」
      という書き方を当てたものだと思う。
       英語で言うのなら、「インスタント」である。「イン・スタンド」で
      「立っている間」。どうだろうか。
       あやしい解釈を信じてはいけない。
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11/6   「月齢」が気になる。十五夜が満月だということははっきりしている。
      十五夜は満月だから、そこが海であれば、日没と同時に月が東の空に姿
      を表す計算だ。
       それなら、「十六夜」はどうだろうか。この夜のことを「いざよい」
      と呼ぶ。「いつまでもためらっていて、出てこない」というのだ。
       昔の人が月を楽しみにしていたことがこんな所からもわかる。月の出
      は、一日ずれると48分遅れる計算だ。日没からたった48分遅れただ
      けなのに、ひどい言われようだ。

      ○十七夜 立待月(たちまちづき)夕方立ったままで待っていれば、そ
       のうちに月が出てくることから
      ○十八夜 居待月(いまちづき)立って待つには時間がかかるが、座っ
       て待っているうちに出てくることから
      ○十九夜 寝待月(ねまちづき)臥待月(ふしまちづき)座って待つに
       は時間がかかるが、寝て待っているうちに出てくることから
      ○二十夜 更待月(ふけまちづき)夜が更けるまで月が出てこないこと
       から

       こうしてみると、昔の人は風流すぎる。月なんて、どうでもいいでは
      ないかと思ってしまう。今ならテレビだってインターネットだってある
      からだ。
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11/5   「日本記念日協会」という組織があるらしい。漢字の日が12月12日だ
      というのも、この協会の認定を受けたことだという。そういう協会でも
      なければ、世の中、記念日だらけになってしまうのだろうと想像する。
       ボクならどんな記念日を作るだろう……。打ち明けたいが止めておく。
      そんなことより、この「日本記念日協会」のメンバーが気になる。記念
      日好きの人たちが集まっているんだろうなあ。そして、何でも記念日に
      したい後輩たちを束ねる厳しくも優しい先輩がいてほしい。何かの部活
      動のようなものだ。
       確か、11月22日は「ペットの日」だった。語呂合わせで覚えたことが
      ある。「ワンワンニャンニャン」だと。罪のないことだ。
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11/4   昨年の「今年の漢字」の選定には、60,144人の応募があったと漢字検
      定協会のホームページに書かれていた。6万人である。応募者だけでも
      6万人。応募しかけて止めた人など、興味がある人全体では、どのくら
      いの数になるか。
       さて、その投票状況だが、以下のとおりであった。

       第1位 「帰」(キ、かえる、かえす) 3,518人( 5.85%)
       第2位 「北」(ホク、きた)     2,117人( 3.52%)
       第3位 「拉」(ラツ、ラ)      2,057人( 3.42%)
       第4位 「愛」(アイ、いとしい)   2,033人( 3.38%)
       第5位 「蹴」(シュウ、ける)    1,570人( 2.61%)
       第6位 「疑」(ギ、うたがう)    1,305人( 2.17%)
       第7位 「賞」(ショウ、ほめる)   1,245人( 2.07%)
       第8位 「乱」(ラン、みだれる)   1,089人( 1.81%)
       第9位 「迷」(メイ、まよう)     939人( 1.56%)
       第10位 「偽」(ギ、いつわる、にせ)  938人( 1.56%)
       第11位 「国」(コク、くに)      764人( 1.27%)
       第12位 「忍」(ニン、しのぶ)     734人( 1.22%)
       第13位 「不」(フ、ブ)        662人( 1.10%)
       第14位 「耐」(タイ、たえる)     633人( 1.05%)
       第15位 「再」(サイ、ふたたび)    632人( 1.05%)
       第16位 「絆」(ハン、バン、きずな)  619人( 1.03%)
       第17位 「和」(ワ、やわらぐ、なごむ) 607人( 1.01%)
       第18位 「癒」(ユ、いえる、いやす)  601人( 1.00%)
       第19位 「朝」(チョウ、あさ)     547人( 0.91%)
       第20位 「涙」(ルイ、なみだ)     529人( 0.88%)

       国中で考えていたことが透けて見えるような結果ではないか。しかし、
      第1位がたったの5.85%というのはどういうことか。いや、そんなもの
      であろうか。20位まで合計してみたが、全体の38.47%に過ぎない。人々
      はどんな文字を選んだのか。最後の一人まで知りたくなった。
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11/3   日本漢字検定協会のホームページを見ていたら、「漢字の日」という
      のを発見した。12月12日だという。「良い字一字でも覚えてほしい」
      との願いから決められたことらしい。
       ううむ。漢字検定協会では、「良い」を「いい」と読むことを認めて
      いたのだろうか。ボクの経験では、「良い」は「よい」であった。
       しかし、このようことは世の中にはありふれたことである。「行く」
      にしたって、「いく」なのか「ゆく」なのか。「行方」を「いくえ」と
      は読まない。「行く先」は「ゆくさき」だ。「ゆくゆくは……」という
      言葉にしても、この形しか考えられないではないか。そう思うと、協会
      が「よい」と「いい」とを寛容に扱っていることには異論はない。
       認められないのは、「よゐこ」という書き方だ。芸名だからしかたが
      ないというのはいかがなものか。彼らは爆発的に売れてはいないようだ
      が、彼らを社会が標準と扱った日には、長い伝統に傷が付くことになる。
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11/2   日本漢字検定協会から勤務校あてにメールが来た。内容は、「今年の
      世相を表す漢字を募集している」ということだった。毎年12月12日
      に清水寺のえらいお坊さんが大きな文字で書いていたのは、この字だっ
      たのか。今まで、選ばれ方を知らないでいた。
       昨年選ばれた一文字は、「帰」だった。今年は何になるのか。いや、
      どんな文字にしようか。自分なりに考えてみた。

      「虎」……いや「星」だな、今年は。「火星の最接近」「星野の活躍」
      「超新星ボブ・サップ」……秋場所の星取も気になったし。

       募集期間は、10月24日(金)〜12月1日(月)当日必着。気になる人は、
      漢検ホームページへどうぞ。
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11/1   「又」の字は、片手を差し出した形だという。だから、その手にもの
      を挟むと「叉」になる。「又」を縦に二つ並べたものが変化して、これ
      が「友」の字になったようだ。そもそもが手と手を取り合った姿なのだ。
      ただ手のみが描かれながら、人間関係を表すところに引かれるではない
      か。
       さて、この「手」に、別の手が覆い被さっているのが「反」だ。一方
      の手がもう一方を抑えている。そう、「友」と「反」とは、形は似てい
      るが、意味は全く反対だ。
       最近の友情関係はどうだろう。昔は決して裏切らなかったものだが。
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     過去文 2003年   2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
         2004年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
         2005年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月